再編・統合による巨大化に生き残りをかける金融業界

金融界を牽引

三菱UFJ、みずほ 、三井住友の「三大メガバンク」を中心とする商業銀行が中核を担う日本の金融界。

90年代のバブル経済後に抱え込んだ不良債権が経営基盤を揺るがしかねないと判断した大手銀行は、タブーとされてきたライバル同志の統合に踏み切り、現在の三大メガバンク体制が確立しました。

互いに寄り合うことで不良債権の危機を乗り越えようという考え方は他行にも及び、大手メガバンクに追随する形で再編が加速することになりました。

商業銀行に相次いだ合従連衡の流れは証券、保険、リースなどの金融関連業種にも波及し、金融業界全体の再編につながりました。さらに三大メガバンクはその過程で金融関連業種をグループ内に取り込み、金融周辺ビジネスでの収益をグループ収益としてかさ上げする「ユニバーサルバンク」戦略を積極的に取り入れました。

特に力を入れたのは証券ビジネスでした。国内企業向けの融資の減少、市場を通じての資金調達が増加する中、銀行は個人金融資産を対象とした運用ビジネスを展開することにより、法人ビジネスの利益低下を補ってきました。その一方で、大企業への資金融資による利益率の低下によってビジネスモデルの転換を迫られたメガバンクは、グループの証券化を強化しました。

みずほグループ(2000年)を皮切りに、三井住友グループ、三菱UFJグループ、りそなグループ、中央三井住友トラスト・ホールディング、住友信託銀行の6グループが発足しました。不良債権処理が長期化し、大手銀行が破綻すれば日本経済そのものが大きな損失を受けるため、政府・金融監督庁もこれらの統合・合併を積極的に支援しました。その結果、金融不安もほぼなくなり、ペイオフの実施も可能となりました。

合従連衡時代へ

信託業界でも再編の動きは活発化しました。リーマンショックに端を発した世界金融危機で株式評価額などで多額の赤字を計上した中央三井信託銀行は、当初返済予定だった公的資金の返済が不可能となり、整理回収機構が筆頭株主になったことで、財務面の体質改善が急務となり中央三井が住友信託との経営統合に向けて動き出しました。

そして2011年4月1日に経営統合し、新たな金融持ち株会社として三井住友トラスト・ホールディングが発足、2012年4月には傘下にある住友信託銀行、中央三井信託銀行、中央三井アセット信託銀行を合併・統合し、三井住友信託銀行が誕生しました。

証券業界では、共同出資でホールセール証券を設立し、10年間資本提携を行ってきた三井住友と大和証券の両グループが決別しました。三井住友グループは、シティグループから日興コーディアル証券を買収し「SMBC日興」として新しくグループ証券にしました。一方の大和証券グループは、ホールセール証券とリテール証券を統合させて、再び独立証券の形に戻りましたが、国内外との金融機関との連携が囁かれています。

予想以上の再編で業界地図が塗り替えられたのが損害保険(以下、損保)業界です。損保業界の再編は2004年に持ち株会社のミレニアムホールディングの元で経営統合した東京海上火災保険と日動火災海上が合併し、東京海上日動火災保険が誕生したことで一段落するかと思われました。

しかし、世界的な金融危機や国内市場の収縮の科での競争激化により、再び再編劇が繰り広げられることになりました。業界を大きく変えたのが、三井住友海上グループホールディングス(業界2位)と、あいおい損害保険(同4位)、ニッセイ同和損害保険(同6位)の経営統合で新たに誕生したMS&ADインシュアランスグループホールディングです。3者合計の保険料収入は3兆円に迫っており、従来は業界トップの地位にあった東京海上ホールディングスを追い抜きました。さらに同時期には損害保険ジャパンと日本興亜損害保険が統合したNKSホールディングスも誕生しました。

また業界を驚かせたのは、損害保険大手の東京海上日動火災保険と生命保険大手の明治安田生命保険の両者が損害保険の販売で提携したことです。同じ業界同士の統合ではなく、大手生保と大手損保という別の業界同士の提携は、生・損保業界ともに生き残りに必死であることを示しています。

メガバンクの課題はリテール部門の強化

国内ではユニバーサルバンク(金融総合路線)の下、本業の利益低下をグループ内で補うための努力が続けられています。メガバンクは、融資業務を柱としながらも、規制緩和で可能になった様々なビジネスを拡大させる戦略をとっています。

投資銀行業務の柱となる証券機能、個人資産の継承・保全、運用を保管する信託機能のほか、リース機能となったグループ会社の保有する金融機能の質を高め、グループでの相乗効果を高める総合金融力の充実を図っています。

グループの信託銀行、証券会社、生・損保との統合、連携に続いて、現在進行しているのがカード、消費者金融との連携です。カード業界ではメガバンクによる傘下クレジット会社のテコ入れが相次ぎました。背景には改正貸金業法の完全施行により収益源だったキャッシング部門が縮小したことと、大手消費者金融の破綻などにより、利息の返還請求の先行き不透明が増したことがあります。

みずほグループはオリコを持分法適用会社化し、三井住友グループはセディナ(旧オーエムシー)を完全子会社化しました。法人向け融資が伸び悩むメガバンクによって、リテール部門の強化は重要な課題です。カード事業はそのリテール戦略の中核を担う事業ですが、今後の事業再構築はたやすくないというのが専門家の見方です。

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銀行、証券、生損保、ノンバンクの現状と募集職種

日本の世界経済に果たす役割は大きい

銀行は長年、預金、貸付、決済を中核業務としてきましたが、現在では証券、投資銀行業務にも本格的に進出し、株式、債権、投資信託の売買などのリテール分野にも力を入れています。

そして、銀行を中核として、証券、信託などを統括するフィナンシャルグループの設立が相次ぎました。金融情勢が目まぐるしく変化するなか、都市銀行ではリテール保険、金融商品の銀行窓口の総合化など、証券業務の育成が成長のカギを握っています。

一方、地方銀行や第二地方銀行、信用金庫などは取引先との信頼関係を強化、フットワークのよさを生かした営業が従来以上に求められるようになっています。

銀行における主な募集職種は、法人向けと個人向けに分別され、営業、営業企画、融資審査、ローン審査などを行います。都市銀行の場合は与信審査、不動産、国際業務企画、経営企画など法人向けビジネスが多くなっています。また、新卒の採用時に専門分野を選択させるコース別採用を導入し、入行後の能力に応じてキャリア形成を支援するというプロフェッショナルの養成にも注力しています。

金融機関は他業種よりもコンプライアンス遵守が厳格に求められます。日本でも財務報告の信頼性を高めるための仕組みづくりがSOX法で規定されました。これを受けて、財務・会計・関連法規のプロフェッショナルである内部監査や内部統制の求人も活発になっています。

有価証券の売買の仲介が主な仕事

証券会社のサービス内容は近年多様化が目覚しく、一律だった株式手数料も証券会社自身で決められるようになりました。インターネット取引に特化した証券会社も誕生し、手数料の安さと手軽さから個人投資家も増えています。

また、証券会社が業務拡大に力を入れているのが、投資銀行業務です。株式・社債の引き受け、企業のM&A、資本提携の仲介、財務戦略のアドバイザー的な役割を引き受けます。

リーマン・ショック、欧州各国の財政危機、東日本大震災などによる株式や債券市場の低迷により、証券会社にとっては厳しい収益環境となっていましたが、2013年は「アベノミクス」効果で株価は持ち直してきてきました。また投資信託の人気は根強く、個人金融資産からの誘導を図っています。

証券会社における主な募集職種は、FA(フィナンシャル・アドバイザー)、「証券営業」、「M&A」、「デリバティブ」などです。FAは個人の顧客に対して投資商品の案内と販売を行います。証券外務員資格が必要ですが、人材の育成不足の今は就職のチャンスといえます。

証券営業は個人の顧客に幅広い金融商品の案内、提案、販売を行います。ほかにも企業買収のアドバイス、デリバティブ商品の開発、投資候補先企業の分析など職種は多く、優秀な人材が常に求められています。

貯蓄性の高い保険商品の開発がカギ

日本人の生命保険加入率は世界的見ても高いため、生命保険会社の経営は長年安定していましたが、少子高齢化、大手保険会社の相次ぐ保険料の未払い問題などにより、従来の「死亡保険」中心の事業は大きな曲がり角を迎えました。

外資系保険会社が参入し、金融自由化で銀行窓口での保険販売が行えるようになったうえに、ネットでの保険販売に特化した会社も登場し、顧客獲得をめぐる仁義なき戦いが繰り広げられています。

現在は、「第三分野」と呼ばれる、がんや心筋梗塞、脳卒中の三大疾病に代表される特定疾病保障型保険や、養老年金、個人年金、学資保険など貯蓄性の高い保険商品の販売が盛んになっています。

生命保険会社の採用数ですが、保険金の未払い問題が一段落を迎えたことからこの数年は増加傾向にあります。主な募集職種は、「営業」、契約者の意見や苦情の対応にあたる「業務管理」、新商品の開発を担当する「開発」、契約者から委託された資金を有価証券や不動産で運用する「資産運用」などです。

特に主力商品の死亡保険に変わる新商品(貯蓄性の高い商品、老後の保障が中心の商品など)の開発が急務な各社にとって、優秀な開発担当の人材を採用することが重要です。

生命保険といえば、セールスレディによる販売が中心でしたが、ネット専業の保険会社や銀行による窓口販売などが行われるようになった近年は、生命保険会社でも、店舗によるカウンターサービスの充実に力を入れるところが増えてきました。

交渉力や説得力が求められる仕事

「自動車保険」「賠償責任保険」「傷害保険」「火災保険」などを主力商品とする損害保険会社は、扱う商品の多くが「掛け捨て型」のため、収益力が高く、金融業界のなかでも信用格付け会社の評価が抜きん出て高いのが特徴となっています。

収益の中心は保険料収入の6割を占める「自動車保険」でしたが、生保業界と同様に、インターネットやコールセンターを活用した新規参入が増えており、競争は激しさを増しています。

損害保険会社の業務は、法人向けと個人向けに分かれており、主な募集職種は、得意先の保険代理店や個人を回って契約を獲得する「営業」、契約書整理・管理を担当する「営業事務」、「契約査定」、自動車事故などが起きたときに示談交渉を行う「専門職」などです。

預金を受け入れないで融資だけを行うノンバンクの業態は、事業者向けの商工ローン、ファクタリング会社、ベンチャーキャピタル、個人向けの消費者金融、クレジットカード会社、信販会社などがあります。

銀行による融資だけでなく、社債発行による資金調達が可能になったノンバンクは規模が拡大しており、それにあわせて募集職種も転倒や電話で受付や契約内容、手続きの説明等を行う「営業」、支払期限の通知や返済プランのアドバイスを行う「債権管理」、カードの読み取り機器の開発等を手掛ける「システム管理」、利用者のニーズを掘り下げ、顧客開拓の戦略を練る「マーケティング」など、一般職から専門職が強い職種まで幅広い人材を採用しています。

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